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AIと弁護士業務

 AIの研究が進み、ChatGPTなどの関連するニュースを目にする機会が増えてきました。このまま進化を続けていけば、近い将来、人々の暮らしは一変するでしょう。10年後20年後には、弁護士の業務内容も大きく変わると思います。
巷ではAIに仕事を奪われるのではないかという懸念の声もあり、専門職である弁護士業も例外ではありません。

 さて、実際、AIが弁護士業に及ぼす影響も大きいと思うのですが、弁護士業は、しばらく残っていくのだろうと思います。というのも、人間にあってAIにはないものが「感情」で、人類が感情を持った生き物である限り、弁護士業務の本質も変わらないと思われるからです。
 弁護士は、依頼人のために法律などのルールを駆使していくことを仕事にしていますが、その依頼の背景には、常に、人間としての感情があります。会社であれ個人であれ、トラブルの解決や予防の依頼の背景には、人間が持っている様々な感情が複雑に絡んでいます。こうした依頼事項に向き合うことは、同じ人間にしか出来ないことだと思います。AIが人類と同等の感情を手に入れるまで、およそ弁護士の仕事は無くならないと思います。

 一方で、「法令や判例の調査や契約書のリーガルチェックなどは、AIでも出来るようになる」という声も聞きます。すでに、そのようなサービスも出始めていますし、実際、そのようになっていくのだと思います。前提条件の設定さえしっかりできていれば、ミスをする生き物である人間よりも、AIの方が優れた仕事ができるのは明らかですから、仕事によっては、むしろAIに任せた方が合理的なこともあるのです。これからは、AIを使いこなすことが必須のスキルとなり、むしろこれが出来ないと仕事にならない、という時代がくると思います。インターネットや電子メールが登場し、これを使いこなせなければ仕事にならないのと同じように、やがて弁護士にとっても当り前のツールになっていくように思います。

 ただし、「法令や判例の調査は機械的な作業にすぎないからAIに任せて良い」という発想は誤っているというのが持論です。法令や判例こそ、人間の感情が折り重なって生み出された産物であり、機械的な作業と割り切れるものでもありません。そこを汲み取ってこそ、依頼者のためにより良い仕事ができる場合もあります。
 法令も判例も、初めから存在していたわけではなく、それらを創った人々がいて、それらが創り出される契機となった事件・事象があるのです。AIが、法令や判例の裏側に込められた感情の部分まで理解した上で仕事が出来るようになるのは、10年20年の単位では難しく、もう少し先のことになるのだろうと思います。

 AIを駆使する専門性と、人としての感情を踏まえた仕事をしていくこと。これらが、これからの時代の弁護士に求められることだと思います。