Column / コラム記事

所有者不明土地問題

 国土交通省によれば、平成28年度地籍調査(563市区町村における計約62万筆)において登記簿上の所有者の所在が不明な土地(所有者不明土地)は約20%あるといわれます。こうした所有者不明土地は、都市開発やインフラ整備の際 […]

 国土交通省によれば、平成28年度地籍調査(563市区町村における計約62万筆)において登記簿上の所有者の所在が不明な土地(所有者不明土地)は約20%あるといわれます。
こうした所有者不明土地は、都市開発やインフラ整備の際、所有者の探索等に多大な時間・費用・労力を要し、進捗の遅れや区域変更を余儀なくされるなど、円滑な事業の実施に大きな支障を生じさせるといわれます。
 所有者不明土地が生じる主な要因は、所有者が死亡した後、相続登記がされないまま放置されることにあります。実際に相続が関係する法律相談では、このような相続登記未了のケースに接することがよくあります。一方では、不動産取引の法律相談では、所有者に連絡しようと思って登記をみても、所有者が誰だか分からない、連絡がとれないといったことが支障になるケースがよくあり、問題の大きさを実感します。

 こうした所有者不明土地の問題状況を踏まえ、所有者不明土地の利用の円滑化及び土地の所有者の効果的な探索を図るための措置を図るため、平成30年に所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法 (平成 30 年法律第 49 号)が制定されました。同法では、公共的事業のために一定期間の使用権を設定する制度、収用手続の合理化・円滑化を図る土地収用法の特例措置、地方公共団体の長等が財産管理人の選任等を請求し得る財産管理の特例措置、長期相続登記等未了土地の付記登記等の法的対策が講じられています。これからの不動産取引には、こうした新たな法制度の活用が求められるでしょう。

 また、そもそも問題の解消のためには相続登記が促進されることも重要です。最近では、行政通達等により、相続登記に提供する添付情報の見直し等による手続の緩和、負担軽減も進められていますが、法律相談を受けていると、こうした手続緩和の動きを知らない方が大多数であることを実感しています。

 弊所では所有者不明土地の問題にも積極的に取り組んでおりますので、ご相談がありましたら、お気軽にお問合せください。

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